ボイトレ・メニューの取説 (1) ネイネイ・エクササイズ

ハリウッド式ボイストレーニングの王道トレーニングの1つ。ネイネイエクササイズについて。
喉頭を持ち上げた状態で発声を行う仕組みや恩恵。そこから発展型のトレーニングについてを解説します。

解説のポイント

  • 「金属的なキンキンした”ミックスボイスらしき物声”は出る様になったけど地声っぽくならない」と言う悩み相談から始まります。
  • 昨今のボイストレーニングのトレンドが「声門閉鎖」が来ているようですが、実際の閉鎖の割合(声帯の開閉の比率)を理解する必要があります。
  • 喉頭を上げたネイネイ・エクササイズはセス・リッグス氏達からファリンジャル・ボイスと呼ばれます。
  • この発声法はあくまで息を減らし、声門閉鎖を高めた裏声発声である事を理解する必要があります。
  • 喉頭を上げる事により高周波成分が多い発声です。
  • このエクササイズでは「低音の声帯を薄くする」「息を少なくして、高音の声帯を強く閉じる」事によって低音と高音の音色や歌手の感覚を揃えるのが大きな目的です。
  • 喉頭を上げた状態の裏声発声から、喉頭を引き下げた地声発声に変換していくトレーニング方法を紹介します。

桜田ヒロキのコメント

スタッカート・トレーニングは声楽系のボイストレーニングでは使われる事の多いエクササイズ・ツールだそうですが、Speech Level Singing系のボイトレでは使われる事のない方法論です。

ああ!なんてもったいない!このエクササイズ・ツールを習得し、クライアント様に教えると「ビックリするくらい声が出しやすくなった!」と言う方が続出しています。

息を非常に少なくし、喉頭を上げた状態での発声状態をSpeech Level Singingのセス・リッグス、ハーバード・チェザリは「ファリンジャル・ボイス」と呼び、積極的にボイストレーニングに取り入れて来ました。近年ではこれらのエクササイズを積極的に取り入れボイストレーニングを行うトレーナーが増えてきましたが、近年、「この発声方法は裏声である」と言う事が科学的に分かってきました。

この発声法が地声であるか、裏声であるか、を理解してトレーニングメニューを処方する事はとても重要な事で地声やベルティング発声にたどり着かせる事を目標とした場合、どこかの段階で地声にしていく必要があります。仮にこの発声方法を地声として認識をしてしまうと、声量を上げるために呼気圧を上げた瞬間に声帯は離れてしまい、いわゆる息漏れした裏声となってしまいます。

この動画では「ファリンジャル・ボイスが科学的にどのように作られているのか?」「その恩恵は何か?」また「この発声方法をより力強い地声にしていくにはどうすれば良いのか?」科学的な知見も踏まえて徹底的に詳細解説していきます。

RECOMMEND
関連動画

声楽からミュージカル歌手の歌い方へ変えたい!

声楽を学んできたが、CCM(コマーシャル・コンテンポラリー音楽)の発声方法も習得したいクライアント様のレッスン。

WATCH MORE

Listen (Beyonce)の高音をベルティングで出したい

プロフェッショナル・シンガーで、非常に音楽能力が高い方。発声を地声モードに寄せていく事によって力強い声を作り上げていきます。

WATCH MORE

歌うと喉の緊張をすごく感じる。リラックス方法を知りたい

歌うと喉の疲労が激しいわりに、大きな声が出しにくいというクライアント様に過緊張とは何か?改善は何か?を解説していきます

WATCH MORE

鼻声ってなんで起こるの?

鼻声になるとあまり「良い声、美しい声」と認識されない事が多く、改善したいと言う方が多くスタジオにいらっしゃいます。
この動画では鼻声がどのようなメカニズムで起こっているのか徹底解説します。

WATCH MORE

リズム感を強化してもっとカッコよく歌いたい!

R&Bを歌いたいのだけど、キレがなく、なんとなくまったりしてしまうと言うのが悩みのクライアント様のケースを解説します。

WATCH MORE

声と意識の結びつけ方。その重要性を解説します。

あなたは声と意識の結び付けが上手に出来て、インテリジェントに練習が出来ていますか?
声のトレーニングは筋肥大を目指す筋力トレーニングとは異なり、頭で想像→実際に発声→理想と実際に出た声の誤差チェックが重要になります。

WATCH MORE

最新記事

加齢の声への影響とボイストレーニングについて論文を調べてみた 第2話

【第2話】加齢しても発声機能は改善できます 有酸素運動・継続歌唱・段階的ウォームアップの科学的根拠と実践的アプローチ 加齢に伴って声の立ち上がりが遅くなる、高音が硬くなる、息漏れが増えるなどの変化を自覚する方は非常に多い […]

なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 2話

なぜ喉頭マッサージ(LMT)とSOVT(半閉鎖声道発声)では治らないのか? ——専門家も警鐘を鳴らす“Shortcut Therapy”と、歌手の機能性発声障害の根治に必要な視点 発声の不調で相談に来られた方に治療歴を伺 […]

なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 1話

なぜ発声治療は「喉頭マッサージ(LMT)+SOVT(半閉鎖声道発声)」に偏るのか? — 歌手の機能性発声障害をめぐる“治療の偏り”という問題 — 発声の不調を訴えるクライアントにヒアリングをすると、驚くほど同じ内容が返っ […]

記事をもっと見る
レッスンを予約する