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歌手の発声障害(MTD)と代償発声の落とし穴
歌手が声の不調を感じたとき、その原因を「筋肉の疲労」だと考える方は多いでしょう。確かに筋肉疲労は要因の一つですが、それだけではありません。 過酷な本番や稽古によって“代償的な発声”が習慣化し、筋緊張性発声障害(MTD)に発展するケースが少なくないのです。 代償発声が招く二次性MTD MTDには大きく分けて**一次性(Primary)と二次性(Secondary)**があります。 一次性は明らかな器質的異常がないのに筋緊張が起こるタイプ。 二次性は、声帯や周辺機能の異常・負荷に対して、喉頭や首肩の筋肉を過剰に使って“代償”することで固定化してしまうタイプです。 例えば… ・高音を出すときに喉頭を強く引き上げる ・声量を出そうとして仮声帯を締める ・舌や首周りの筋肉を過剰に動員する こうした代償動作は一時的には音を出せても、結果的に喉周辺の緊張を慢性化させ、声の質や持久力を低下させます。 本番・稽古が引き金になる理由 ・長時間のリハーサルや連日の本番 ・精神的プレッシャーによる無意識の力み ・怪我や一時的な声帯不調をかばうための無理な発声 これ… 続きはこちら≫