2022年 11月 の記事一覧

  • 輪状甲状筋と甲状披裂筋って「どちらが強い」?

    声に置いてどのような仕組みで音の高さを生成しているのかを考えます。 声の高さの生成は一般的な認識よりも複雑な仕組みをしています。 声帯でどのように音程をコントロールしているのか? 主に2つの要素でコントロールをしています。 1 声帯の長さを変える 2 声帯にかけるストレスを変える。(ストレスを加えると硬化します) ではどのように長さとストレスを変えるのか? 甲状披裂筋(TA)の活動。 活動すると声帯は縮みます。声帯のストレスは高くなります。 甲状披裂筋は声帯の内側に走っています。 輪状甲状筋(CT)の活動。 活動するとと声帯は伸びます。声帯のストレスは高くなります。 呼気圧を高める。 呼気圧を高めると動的なストレスが声帯に加わります。 喉頭モデル 輪状甲状筋(CT)と輪状甲状筋(CT)の活動の関係性 輪状甲状筋は垂部(CT1)と斜部(CT2)左右対にになっています このモデルは喉頭を左側から見た状態です。 こちらのCTとTAのモデルを観ると、垂部(CT1)は縦方向への力。斜部(CT2)は斜め下方向への力を担っています。… 続きはこちら≫

  • 「ベルディングの女王」 イディナ・メンゼルの技術を徹底解説

    今回はベルティングの女王とも呼ばれるイディナ・メンゼルを解析していきます。 「Defying Gravity」のライブの動画を使っていきます。 これはイディナ・メンゼルが「Wicked」の中でエルファバとして演じているものではなく、ソロアーティストとして歌っているものです。 ですので、微妙に歌い回しが違ったりするので、そこも踏まえてお届けします。 実際、どれくらいの頻度でベルティングを使っているのか?どういう作戦で歌っているのか?というのも面白いと思いますので歌い方と合わせてベルティングについても解説していきます。 動画で挙げたポイントは下記の通り ・歌い始めは伴奏はピアノのみでフリーテンポ。 ・「2note trill down」を使ったりして微妙にフレージングを変えている。ポップスやソウル系のシンガーがやるようなフレーズの作り方などもしていて彼女の音楽能力の高さが見える。 ・バンドインしてからも「8分系のシンコペーション」「3連符系のフレージング」などを使い、メロディにブレーキやフックをけたりして劇場版のフレージングから変えている。 ・… 続きはこちら≫

  • ヒアルロン酸の経口摂取は喉や声帯の加湿に有効か?

    キユーピー株式会社が2021年6月に「国際ヒアルロン酸学会」で発表した研究では、 経口摂取したヒアルロン酸が大腸の腸内細菌によって分解、吸収されて皮膚で作用する仕組みを解明したとの事です。 この研究で発表された概要は以下の通りです。 ・この研究では口からヒアルロン酸を摂取する際、胃液や腸液では分解されず、大腸の腸内細菌によって分解される事が確認された。 ・分解された低分子ヒアルロン酸が吸収されて皮膚に到達することが明らかになった。 ・三次元皮膚モデルを用いた試験で、コラーゲン代謝(真皮におけるコラーゲン分解と合成)を活性化することも分かりました。 この研究からプロ・ボイスユーザー達へ考えられる恩恵 口から摂取したヒアルロン酸が皮膚に到達しているのであれば、ヒアルロン酸が声帯に到達する可能性は高いのではないかと考えられます。 また体内のコラーゲン代謝が高まるのあれば、声帯の靱帯層の健全な状態の維持が期待出来るのではないかと考えられます。 声帯の最も外側にある上皮層(epithelium)はヒアルロン酸が主成分。 声帯の中間層にある靭帯層(ligaments… 続きはこちら≫

  • 女声の2つのミックスボイス。それぞれのトレーニング法とは?

    女声でよく使われる地声と裏声の中間のような声、いわゆるミックスボイスは大きく分けて2通りありそうです。 その各種発声法の違いから、より力強い発声を習得するための方法を考えてみます。 計測に使う機材 EGG(エレクトロ・グロトグラフィ) 簡単にEGG(エレクトロ・グロトグラフィ)について説明しておきます。 EGGは喉頭の左右両方に電極パッドを装着します。 5mVと言う微弱電流を片方からもう一方に電気を流します。 例えば右から左に電気を流す場合、声帯が合わさっていない場合は電気は流れません。 声門が閉じた際に電気が流れ、1サイクルの中で何パーセント程度、声帯が合わさっているのかを計測する機材になります。 具体的な声門閉鎖の目安となるのは以下の通りです。 さらに歌声において各種発声の目安となる声門の閉鎖率は以下の通りです。 ケース1 裏声の発声で作られたミックスボイス こちらはF4の発声をミックスボイス(聴感上は裏声と地声の間のような声)で発声している女性の声です。 声門の閉鎖率は35〜40 %程度。 上記の表と照らし合わせる… 続きはこちら≫

  • 発声筋にも速筋と遅筋がある?

    骨格筋は筋線維が収縮することで力を発揮しますが、収縮速度の速い「速筋」は、大きな力を短時間に発揮することができ、瞬発力やパワーが必要な運動を行うときに活躍します。 ただし疲労に弱いとされています。 一方、収縮速度の遅い「遅筋」は、長い間収縮し続けることができるので、持続的な運動を行うときに活躍します。 ただし瞬発的に強い力を生み出すのに弱いとされています。 人間の体は筋肉の部位により筋繊維の割合が異なります。 体の部位毎に使われる用途などによってこの割合を変えながら進化していったのかもしれませんね。 声をコントロールする喉頭の各種筋肉にも割合の違いはあるのか? National Library of Medicineに掲載されている論文では内喉頭筋の筋繊維の割合が書かれています。 Thyro-arytenoid muscle (甲状披裂筋) 声帯の収縮筋として機能。 発声においては声門閉鎖、地声の生成が主な機能とされます。 2/3が速筋。1/3が遅筋。 Crycothyroid muscle(輪状甲状筋) 声帯に張りを作る。 音程のコント… 続きはこちら≫

レッスンを予約する