-
結局ミックスボイスってなに?第6話ー音響的ストラテジー
第6話:音響的ストラテジー ― 声区とフォルマントの関係を科学する 声区移行は筋肉だけで説明できない 多くのボイストレーニングでは、声区(レジスター)の切り替えを「筋肉(TAとCT)の拮抗」で説明する。これは重要だが十分ではない。発声は声帯が作る周期振動(source)と、声道がもつ共鳴(filter)の相互作用で決まり、声区の滑らかな移行=パッサージョは筋生理学的パッサージョ(source passaggio)と音響的パッサージョ(filter passaggio)の一致が成立してはじめて実現する。 現場で「E4で声がひっくり返る」「母音を変えると抜ける」といった訴えが起きるとき、単なる筋力不足ではなく、倍音とフォルマントの不整合が背景にあることが少なくない。(本当に・・・!!!) したがって、ボイストレーナーは筋の指導だけでなく、共鳴設計という音響的観点を併せて扱う必要があります。 Lissemoreの知見:Inter-harmonic Tuning リチャード・リスモアは、特にソプラノの第2パッサージョ(おおむねE5〜G5)に焦点を当て、声道の第1フォルマ… 続きはこちら≫