-
SOVTで出来る事と出来ない事を考えてみよう!
第1話 SOVTはなぜ効くのか?なぜ「効かない」と感じる瞬間があるのか 近年、SOVT(Semi-Occluded Vocal Tract)という言葉を耳にする機会が増えてきたと思います。 ストロー発声、リップロール、ハミングなどは、ボイストレーニングの現場だけでなく、セルフケアとしても広く使われています。 一方で、次のような声もよく聞かれます。 「SOVTをやっても声が良くならない」 「特に裏声のSOVT発声が難しい」 SOVTは本当に万能なのでしょうか。それとも、やり方が間違っているのでしょうか。 SOVTは非常に優れたツールである一方、効果が上がりにくい条件があります。その多くは、「SOVTが間違っている」のではなく、多くの場合、声帯側の状態が変化していることに原因があります。 本記事ではまず、 ・SOVTの効果とは何か? ・なぜ効果が出にくいと感じる瞬間があるのか? を整理していきます。 SOVTの効果とは何か(声門上圧・声帯の衝突ストレス低減) SOVTとは、声道の一部を意図的に半閉鎖した状態で発声を行うエクササイズの総称です… 続きはこちら≫
-
なぜ「アーティストの声」は魅力的なのか?- 母音で読み解く「良い歌声」の秘密
なぜアーティスト声は魅力的なのか? 良い歌声とそうでもない歌声はどこに差があるのでしょう? 同じ「あ〜」と歌っているはずなのに、歌声は人によってまったく違って聞こえますよね? 楽譜も歌詞も同じ、音程も同じ。それでも、アーティストの声を聴いた瞬間に「あ、この人の歌声だ」と分かることがあります。 一方で、「音は合っているのに、なぜか上手く聴こえない」と感じる歌もあります。 この違いは、どうやら感覚や好みの問題だけではないようです。 音声学や歌唱研究の視点から整理していくと、その大きな要因の一つが「母音の扱われ方」にあることが見えてきます。 母音は、僕たちが思っている以上に幅が広く、そして歌唱においては極めて重要な役割を果たしています。 「あ」母音は一つではない── 声道(共鳴腔)が変われば、無数の「あ」が生まれる 一般的に、日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5つだと教えられます。しかし、音響的に見ると、「あ」という母音は決して一つの固定された音ではありません。 母音の音色は、声帯で生まれた音が声道を通ることで形成されます。 この声道の形は、喉頭の位… 続きはこちら≫
-
歌を歌うのに母音ってなんで重要なの?
歌唱において母音が中心的役割を果たす理由── 発話と歌唱の音響構造を比較しながら考える「良い声」の正体 歌声を聴いたとき、「この人は良い声をしている」と感じる場面は多くあります。 人は専門的な知識がなくても、歌声の魅力を直感的に判断でしています。 よく桜田は良い声、そうではない声はプロが聴くまでもないと言っています。 しかし、その“良い声”を構成している具体的な要素については、感覚で語られることが多く、科学的な裏付けが十分に共有されていない場合もあります。 音声学や歌唱における音声科学の研究を踏まえて整理していくと、歌声の印象に最も大きな影響を持つのは母音であるという構造が見えてきます。音程、強弱、ビブラート、リズム、フレーズ感など、歌唱を形づくるさまざまな要素はもちろん重要ですが、その根底にある音色(tone)を決定しているのは母音であり、母音の質が歌声全体の魅力を大きく左右しています。 歌唱における母音の役割を理解するためには、発話と歌唱の音響的な違い、さらに言語ごとの特徴やジャンルごとのスタイルを整理していく必要があります。本ブログでは、これらを専門的な観… 続きはこちら≫
-
加齢の声への影響とボイストレーニングについて論文を調べてみた 第2話
【第2話】加齢しても発声機能は改善できます 有酸素運動・継続歌唱・段階的ウォームアップの科学的根拠と実践的アプローチ 加齢に伴って声の立ち上がりが遅くなる、高音が硬くなる、息漏れが増えるなどの変化を自覚する方は非常に多いです。 第1話 加齢で声に何が起きるのかで扱ったように、こうした変化は声帯粘膜の物性変化、声帯筋の反応性低下、神経伝達速度の変化など、加齢による生理学的変化で説明できます。 しかし重要なのは、これらの変化が「改善できない」という意味ではない点です。近年の研究では、発声前の身体的準備、発声頻度、日常の運動習慣などが、加齢後の発声機能に強く影響することが示されています。さらに、適切なウォームアップ設計や中長期的なトレーニング計画を導入することで、加齢後でも発声機能が向上することが確認されています。 今回扱う2つの研究は、加齢声への介入を設計する上で非常に重要な示唆を与えてくれます。 発声前の有酸素運動が声の立ち上がりを改善する理由 Brownら(2019)は、軽い有酸素運動が発声効率に与える影響を検証しました。研究の中心は、発声開始に必要な最小… 続きはこちら≫
-
なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 2話
なぜ喉頭マッサージ(LMT)とSOVT(半閉鎖声道発声)では治らないのか? ——専門家も警鐘を鳴らす“Shortcut Therapy”と、歌手の機能性発声障害の根治に必要な視点 発声の不調で相談に来られた方に治療歴を伺うと、多くの方が次の2つを挙げます。 「喉頭マッサージ(LMT)を数回受けた 」 「SOVT(半閉鎖声道発声)で練習した」 これは日本に限らず、海外でも共通して語られる“典型的な治療体験”です。そして多くの歌手が同じように言います。 「少しは良くなるけれど、すぐ元に戻ってしまう」 「歌うと症状が出る。会話は問題ないのに」 これらは偶然ではなく、発声障害治療における構造的な問題です。 なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか?では、なぜ機能性発声障害の再発が起こりやすい喉頭マッサージやSOVTが治療の中心になっているのか?について述べました。 本稿の第2話では、なぜ治療が喉頭マッサージ(LMT)とSOVTの2つに偏りやすいのか、その背景を整理し、専門家が警鐘を鳴らす理由を探ります。そして、歌手の機能性発声障害(筋緊張… 続きはこちら≫
-
なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 1話
なぜ発声治療は「喉頭マッサージ(LMT)+SOVT(半閉鎖声道発声)」に偏るのか? — 歌手の機能性発声障害をめぐる“治療の偏り”という問題 — 発声の不調を訴えるクライアントにヒアリングをすると、驚くほど同じ内容が返ってきます。 「病院で喉頭マッサージ(LMT)を受けました」 「ストロー発声、SOVT(半閉鎖声道発声)をやりました」 発声障害の方のハビリテーションやボイストレーニングを担当する際、ボイスクリニックでの治療についてクライアントに聞くとこれらの回答が非常に多く感じられます。 単刀直入に書くと安易にマッサージやSOVTを治療に持ち込み過ぎている現状があるのではないか?と疑問に感じるようになりました。 この“治療内容の単調さ”は、桜田の現場だけでなく、国内外の発声治療領域でも共通して見られる現象のようです。特に機能性発声障害(筋緊張性発声障害/MTD)を抱える歌手においては、治療内容が限られた手法に偏りがちであり、そのことが回復を妨げる要因になり得ます。 実はこの治療の偏りについて、近年、研究者や言語聴覚士(SLP)自身が警鐘を鳴らしています。 本… 続きはこちら≫





