ボーカルマッサージ一覧

  • なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 2話

    なぜ喉頭マッサージ(LMT)とSOVT(半閉鎖声道発声)では治らないのか? ——専門家も警鐘を鳴らす“Shortcut Therapy”と、歌手の機能性発声障害の根治に必要な視点 発声の不調で相談に来られた方に治療歴を伺うと、多くの方が次の2つを挙げます。 「喉頭マッサージ(LMT)を数回受けた 」 「SOVT(半閉鎖声道発声)で練習した」 これは日本に限らず、海外でも共通して語られる“典型的な治療体験”です。そして多くの歌手が同じように言います。 「少しは良くなるけれど、すぐ元に戻ってしまう」 「歌うと症状が出る。会話は問題ないのに」 これらは偶然ではなく、発声障害治療における構造的な問題です。 なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか?では、なぜ機能性発声障害の再発が起こりやすい喉頭マッサージやSOVTが治療の中心になっているのか?について述べました。 本稿の第2話では、なぜ治療が喉頭マッサージ(LMT)とSOVTの2つに偏りやすいのか、その背景を整理し、専門家が警鐘を鳴らす理由を探ります。そして、歌手の機能性発声障害(筋緊張… 続きはこちら≫

  • なぜ発声障害の音声療法はマッサージとSOVTに偏るのか? 1話

    なぜ発声治療は「喉頭マッサージ(LMT)+SOVT(半閉鎖声道発声)」に偏るのか? — 歌手の機能性発声障害をめぐる“治療の偏り”という問題 — 発声の不調を訴えるクライアントにヒアリングをすると、驚くほど同じ内容が返ってきます。 「病院で喉頭マッサージ(LMT)を受けました」 「ストロー発声、SOVT(半閉鎖声道発声)をやりました」 発声障害の方のハビリテーションやボイストレーニングを担当する際、ボイスクリニックでの治療についてクライアントに聞くとこれらの回答が非常に多く感じられます。 単刀直入に書くと安易にマッサージやSOVTを治療に持ち込み過ぎている現状があるのではないか?と疑問に感じるようになりました。 この“治療内容の単調さ”は、桜田の現場だけでなく、国内外の発声治療領域でも共通して見られる現象のようです。特に機能性発声障害(筋緊張性発声障害/MTD)を抱える歌手においては、治療内容が限られた手法に偏りがちであり、そのことが回復を妨げる要因になり得ます。 実はこの治療の偏りについて、近年、研究者や言語聴覚士(SLP)自身が警鐘を鳴らしています。 本… 続きはこちら≫

  • 加齢の声への影響とボイストレーニングについて論文を調べてみた 第1話

    【第1話】加齢で声に何が起きるのか 科学論文から読み解く「声が出にくい理由」と、その正しい理解 「昔より声の立ち上がりが遅い」 「高音が出しづらく、伸びが悪い」 「なんとなく息っぽさが増えた気がする」 40代〜60代の歌手、または声を日常的に使う方々がよく口にする変化です。多くの人がこの変化を「衰え」と感じていますが、必ずしもそうとは断言できません。 声帯は歳とともに“構造が変化する”。その変化が機能に影響しているだけで、適切に対処すれば改善可能 と考えています。 この第1話では、「加齢によって声帯で何が起きているのか」を科学論文の記述に基づいて整理し、さらに桜田の臨床経験を加えて理解を深めていきます。 なぜ歳をとると声が出にくくなるのか? 加齢による声の変化は「Presbyphonia(加齢性発声変化)」と呼ばれています。これは病気ではなく、生理的・構造的な変化です。 しかし、それを知らないと以下のような変化を誤解してしまいます。 ・ウォームアップに時間がかかる ・高音が硬く感じる/伸びがなくなる ・息… 続きはこちら≫

  • 音声障害(発声障害)の原因は?データを調べてみた

    声の不調の原因は? ― 医学データで見る発声トラブルの実態 「最近、声が出にくい」「喉の違和感が取れない」「高音が詰まる」 こうした訴えは、歌手だけでなく声優、講師、経営者、コールセンター業務の方など、声を職業として使う多くの人に共通しています。(American Speech-Language-Hearing Association (ASHA)ではこのように声を使う多くの職種をボイスプロフェッショナルと定義しています。) しかし、その原因を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。風邪や結節など目に見える異常がある場合もありますが、実際には検査で異常が見つからないケースも多く、そうした場合にしばしば診断されるのが機能性発声障害です。 今回は、国内外の臨床データをもとに「声の不調がどこから来るのか」を整理し、声を使う人が知っておくべき実態をまとめます。 声のトラブルは大きく3種類ある 声の不調はすべて同じではありません。大きく分けると次の3つに分類されます。 1. 器質性発声障害(声帯ポリープや結節など、構造的な変化が原因) 2. 機能性発声障害(… 続きはこちら≫

  • ボーカル・ウォーミングアップの科学 2 -クールダウンとは?

    第2話:ウォーミングアップとクールダウンの科学的メリット 声を「温める」ことと「冷ます」ことの両輪。 ウォーミングアップは歌うための準備。一方、クールダウンは歌った後の回復のための発声です。身体の筋肉と同様に、声の使用後にも「ゆるやかに収束させるプロセス」が必要であることが、近年の音声科学で明らかになってきました。 声は筋活動・血流・粘膜の協調によって成立する精密な運動です。それゆえ、過剰な使用の後に“何もせず止める”ことは、激しい運動後にストレッチを省くことと同じくらいリスクがある。声帯粘膜や外喉頭筋群が緊張したまま睡眠に入ると、翌朝の発声立ち上がりが重くなり、音域や響きに影響を及ぼします。 本章では、クールダウンで実際に起こる生理的変化、研究による効果、そして桜田が現場で観察してきた回復プロセスを紹介します。 さらに後半では、英国Voice Care Centreなどでも注目されるサーカムラリンジャル(ボーカルマッサージ)を、クールダウンと並ぶ回復手法として位置づけ、科学的根拠と実践的意義を考察します。 クールダウンとは何か? その目… 続きはこちら≫

  • 歌手の機能性発声障害 第5話:代償発声と二次的障害

    第5話:代償発声と二次的障害 代償発声(Compensatory vocalization)と言う言葉を知っていますか? 代償発声とは、発声に必要な機能が十分に働かないとき、他の筋肉や方法で無理に声を出そうとすることを指します。一見すると、声が出ていますし、コントールが上手な方であれば、かなり上手な歌唱にもなり得ます。しかし効率が悪く、声帯や周辺筋肉に過度の負担をかけ、長期的には二次的な障害につながります。 本稿では、代償発声のメカニズムと、それが引き起こす二次的障害について整理し、研究とケーススタディをもとに改善の方向性を考えていきます。 1. 代償発声とは何か? 声帯や喉頭の基本的な機能が十分に働かないとき、人は無意識に「別の方法」で声を出そうとします。これが代償発声です。 例えば、声門閉鎖が弱いとき、首や肩の筋肉に力を入れて無理に声を出そうとする。あるいは、声がかすれるのを補おうと息を強く押し出す。これらは短期的には音を出すことができますが、効率が悪く、声帯の酷使につながります。 Koufman & Isaacson(19… 続きはこちら≫

  • 歌手の機能性発声障害 第4話:歌唱発声と臨床評価の乖離

    第4話:歌唱発声と臨床評価の乖離 「会話は問題ないのに、歌うと声が詰まる」—— 歌手や声優にとって、こうした悩みは決して珍しくありません。 実際、病院で診察を受けた際に「異常なし」と告げられるケースも多いのですが、その一方で本人は歌唱時に深刻なパフォーマンス障害を感じています。ここに、日常会話を前提とする臨床評価と、歌唱という高度なタスクの間に存在する大きな乖離が表れています。 本稿では、このギャップがなぜ生じるのかを整理し、研究知見と臨床の限界、そしてボイストレーニングによるハビリテーションの可能性について考察します。 1. 歌唱の要求と臨床検査のギャップ 臨床現場での検査は、ストロボスコピーや内視鏡を用いて「いー」といった簡単な発声をさせ、その際の声帯の周期性や閉鎖の程度を観察するのが一般的です。これは日常会話に必要な最低限の声の機能を評価するには十分ですが、歌唱のような高度な発声タスクを反映できているとは言いがたいでしょう。 歌唱には、以下のような特徴的な要求があります。 - メロディの変化に沿った複雑な声帯運動 - … 続きはこちら≫

  • 歌手の機能性発声障害 第3話:機能性発声障害(MTD)の理解と歌手への影響

    第3話:機能性発声障害(MTD)の理解と歌手への影響 「声が出にくい」「高音になると急に詰まる」 歌手や声優など、声を職業にしている人の間で頻繁に耳にする悩みです。 声帯結節やポリープのように器質的な変化があれば診断は比較的容易ですが、実際には検査上は異常が見られないケースも多く存在します。 日本ではこのようなケースに「機能性発声障害」という診断名がつけられるのが一般的です。 国際的には「Muscle Tension Dysphonia(MTD, 筋緊張性発声障害)」と呼ばれます。 本稿では、機能性発声障害について定義や分類を整理しつつ、歌手や声優にとってなぜ大きな壁になるのかを考察していきます。 さらに、治療やボイストレーニングによるハビリテーションの可能性についても研究を交えて解説します。 1. 機能性発声障害(MTD)の定義と分類 機能性発声障害とは、声帯に器質的な異常がないにもかかわらず、声を出す機能に問題が生じる状態を指します。国際的にはMuscle Tension Dysphonia(MTD)がその代表であり、特に声を酷使する職業(… 続きはこちら≫

  • 歌手の機能性発声障害 第2話:歌手の発声障害ってなぜ治療やリハビリが難しい?

    歌手と発声障害の診断が難しい理由 「病院に行ったけれど“異常なし”と言われた」—— 歌手や声を専門的に使う人たちの間で、こうした声は少なくありません。 実際、歌手の多くは日常会話ではほとんど不自由を感じないにもかかわらず、歌唱を始めた途端に息漏れや過緊張、声の途切れといった問題が露わになります。 ところが、医師や言語聴覚士の臨床検査は「話声」を前提としていることが多いため、こうした症状は「検査上は異常なし」とされてしまうのです。 本稿では、なぜ歌手の発声障害が診断しにくいのか、その背景を整理し、研究知見と実例を交えながら解説していきます。歌手本人やボイストレーナー、そして医療関係者にとっても重要な視点となるでしょう。 [caption id="attachment_2077" align="aligncenter" width="300"] [/caption] 1. 芸術性を理解できない医療的評価の限界 発声障害の診断は、耳鼻咽喉科医や言語聴覚士がストロボスコピーや内視鏡、音響解析を用いて行います。 ところが、その評価基準はあくまで「日常… 続きはこちら≫

  • 歌手の機能性発声障害 第1話:発声障害とは?歌手が知るべき基礎知識

    発声障害とは?歌手が知るべき基礎知識 「声が詰まりやすい」 「高い声が出しづらい」 こうした悩みを抱えてレッスンにいらっしゃる方は少なくありません。 通常の話し声ではほとんど気にならなくても、歌い出した途端に息漏れや過緊張が現れる。 歌手にとっては声帯の内転(閉鎖)クオリティ(強すぎず弱すぎず)が非常に重要であり、極端な音域や強弱・音色操作といった高度な歌唱環境下では、わずかな乱れが即座に「発声不可能」な状態を引き起こすこともあります。 その背景に潜んでいるのが「発声障害」です。 本記事では、その基本を整理しつつ、歌手ならではの視点から理解を深めていきます。 発声障害の定義と大分類 発声障害(voice disorders)とは、声を出すための仕組みが適切に働かず、本人や周囲が「声が異常だ」と感じる状態を指します。 大きくは以下の3つに分類されます。 1. 器質性発声障害(Organic Voice Disorders) 声帯結節、ポリープ、声帯麻痺、萎縮など、解剖学的・神経学的な異常が原因。 … 続きはこちら≫

レッスンを予約する