ミックスボイス一覧

  • 声を強く出力するために声門閉鎖はどのくらいがベスト?

    近年のボイトレでは「強い声では声門閉鎖!」と言う風潮があります。 これも一部は正しいのですが、「声門閉鎖が100%行われると声帯は振動しなくなる」と言うのもあり、「良い塩梅が重要」と言うのはなんとなく分かっている方は多いと思います。 何よりも声門閉鎖が強烈に高いと、声帯出血など怪我のリスクが高まりますし、これが癖化すれば過緊張発声、過緊張性発声障害に陥る可能性もあります。 どのくらいが良い塩梅なのでしょうか。 声においてのパワーは、声帯の音と共鳴 声は、声帯で作られた音が、声道(共鳴腔)を通り、出力される母音や声色が出力が決定されます。 詳しくは過去ブログ 「ソースフィルター理論について」についてご覧下さい。 共鳴と声帯と言う観点で声のパワーを考えると声帯で作られる音そのものが、ある程度大きな音である必要はありますし、声道の持つ周波数特性との適合がうまくいく必要もあります。 声門閉鎖によるパワーは喉頭原音(声帯そのものの音)に所属しますので、今日はこちらにフォーカスを置いてみましょう。 息の流れ+声門閉鎖で作られる空気の加圧と減圧の大きさ 大… 続きはこちら≫

  • 舌骨上筋群(suprahyoid)の緊張を取る方法

    ボーカルマッサージ/ボーカル・マニュアルセラピーの目的は、「美しい声色の取得の助け」「楽な発声の習得の助け」「音域の拡大の助け」など多岐にわたります。 リラックスした発声器官の状態を作り、発声練習や歌唱と言った運動学習の向上の助けにする事により、技術習得を早める事が出来ると考えます。 ボーカルマッサージのターゲットの1つとなる筋肉群の一つが舌骨上筋群になります。 ターゲットの1つとなる筋肉群 舌骨上筋群 舌骨上筋群(suprahyoid)は、 顎舌骨筋(Mylohyoid),顎二腹筋(Digastric),茎突舌骨筋(Stylohyoid),オトガイ舌骨筋(Geniohyoid)の4つの筋肉です。(左右に対になっているのが特徴です) 「舌骨上筋群は、舌骨から頭蓋底または下顎に向けて上方に筋線維が走り、嚥下時には舌骨を介して喉頭を前上方へ引き上げる。(Sagusa 2010)」とあります。 歌唱時においては 1 下顎を後方に引いて口を開く 2 舌骨を介して喉頭を前上方へ引き上げる これらが主な役割になると思います。 顎舌骨筋(Mylohyoid)の図… 続きはこちら≫

  • 「強い息」は高い声のトレーニングの手助けになるのか?

    「高い声は息の力で出すんだよ!」と言うのは僕も子供時代の音楽の授業で言われた事がありましたが果たしてそうなのでしょうか? 未だにこの様な指導されているボイストレーナーは少なくないと思います。 今回は科学的に「強い息」は高音発声の手助けになるのか?を検証してみようと思います。 肺圧で高音って出せるの? ここに肺圧と声帯の長さと基本周波数(ピッチ)の関係性を表した表があります。 縦軸が基本周波数。横軸が肺圧(息の力)。 そして各声帯の長さ(センチメートル)毎に出る基本周波数を線で表現しています。 この図で見ると非常に興味深い事が見えてきます。 0.5cmの声帯では肺からの圧で約75Hz(E♭2)から最大220Hz(A3)程度まで上昇出来る事がわかります。 それに対して1.2cmの声帯は肺からの強い圧を与えても約225Hz(A3)からほぼ変化しない事がわかります! 声帯が伸びていない低音では肺圧の影響を大きく受ける さきほどの表では声帯が伸びていない、声帯が短い低音では肺圧の影響を音程が受けやすい事がわかります。 なぜこの様な事が起きるのでしょ… 続きはこちら≫

  • 「ベルディングの女王」 イディナ・メンゼルの技術を徹底解説

    今回はベルティングの女王とも呼ばれるイディナ・メンゼルを解析していきます。 「Defying Gravity」のライブの動画を使っていきます。 これはイディナ・メンゼルが「Wicked」の中でエルファバとして演じているものではなく、ソロアーティストとして歌っているものです。 ですので、微妙に歌い回しが違ったりするので、そこも踏まえてお届けします。 実際、どれくらいの頻度でベルティングを使っているのか?どういう作戦で歌っているのか?というのも面白いと思いますので歌い方と合わせてベルティングについても解説していきます。 動画で挙げたポイントは下記の通り ・歌い始めは伴奏はピアノのみでフリーテンポ。 ・「2note trill down」を使ったりして微妙にフレージングを変えている。ポップスやソウル系のシンガーがやるようなフレーズの作り方などもしていて彼女の音楽能力の高さが見える。 ・バンドインしてからも「8分系のシンコペーション」「3連符系のフレージング」などを使い、メロディにブレーキやフックをけたりして劇場版のフレージングから変えている。 ・… 続きはこちら≫

  • 女声の2つのミックスボイス。それぞれのトレーニング法とは?

    女声でよく使われる地声と裏声の中間のような声、いわゆるミックスボイスは大きく分けて2通りありそうです。 その各種発声法の違いから、より力強い発声を習得するための方法を考えてみます。 計測に使う機材 EGG(エレクトロ・グロトグラフィ) 簡単にEGG(エレクトロ・グロトグラフィ)について説明しておきます。 EGGは喉頭の左右両方に電極パッドを装着します。 5mVと言う微弱電流を片方からもう一方に電気を流します。 例えば右から左に電気を流す場合、声帯が合わさっていない場合は電気は流れません。 声門が閉じた際に電気が流れ、1サイクルの中で何パーセント程度、声帯が合わさっているのかを計測する機材になります。 具体的な声門閉鎖の目安となるのは以下の通りです。 さらに歌声において各種発声の目安となる声門の閉鎖率は以下の通りです。 ケース1 裏声の発声で作られたミックスボイス こちらはF4の発声をミックスボイス(聴感上は裏声と地声の間のような声)で発声している女性の声です。 声門の閉鎖率は35〜40 %程度。 上記の表と照らし合わせる… 続きはこちら≫

  • 歌唱に最適な呼吸法とは?

    古くは歌は「呼吸の芸術」と呼ばれていた事もあるくらい重要視されてきました。 近年では声帯の運動解析や共鳴の音響解析に注目が集まり、逆に呼吸は軽視されているように感じます。 声を作るのには呼吸(Energy Source)、声帯(Vibration)、共鳴腔(Resonance)の3つが必ず必要となります。 歌において呼吸は必要な音程、音量、音色を出すのにあたり最適な呼気を声帯に送る必要があり、非常に重要なシステムである事に変わりありません。 呼吸→声帯で作られる原音→共鳴腔 と言った流れのプロセスになりますが、それぞれ三つ巴になっているように考えると良いと思います。 1つのシステムにエラーが生じると全てのシステムに異常が起こるようになります。 とすると、呼吸と言うシステムは共鳴、声帯と同じくらい重要な物になります。 いくつかの例として・・・ ・呼気が少なければ、声門の閉鎖は強くなります。 ・呼気が多すぎれば、(声門の閉鎖は弱くなる事もありますが、多くの場合で)過度に声門を閉じようとし、過緊張を引き起こします。それは声道の形状にも影響を及ぼします。… 続きはこちら≫

  • ライブ、レコーディング前のボイス・ウォーミングアップでは何をするか?

    歌っている方であれば歌唱において、ウォーミングアップを行う事がとても重要な事はご存じの通りでしょう。 オーストラリアのある学者によって行われた実験では歌手がウォーミングアップ前、そしてウォーミングアップ(25分間)後の歌唱(8小節)の評価を行いました。 評価項目は ・声の甘さ ・明るさ ・喉に感じるストレス ・ビブラート ・歌唱クオリティ ・トーンクオリティ(声色) ・発声技術における集中力 ・自信の有無 ・声の響き ・シンガーの内に感じる安心感・安定感 ・声から聞こえる不安感 ・声から聞こえる疲労感 など多岐にわたる項目を歌手本人6名。そして専門家8名の耳で確認すると言う方法で行いました。 結果は予想通り、全ての項目で歌手自身、専門家すべての評価がウォーミングアップ後に大きく向上しました。 この実験自体は歌手や専門家の知覚で行われましたが、この研究の全てに関わった人がウォーミングアップ後の歌唱評価が向上したのは、、、 まぁ当然と言えば当然ですね。(笑) では桜田ヒロキはプロフェッショナルの歌手のライブ会場やレコーディングスタジ… 続きはこちら≫

  • 朝の出しにくい声に最適なボイトレ・エクササイズをご紹介

    こんにちは!桜田ヒロキです! 歌を歌い始める時、特にウォーミングアップが出来ていない時にこんな状況に陥ったことはありませんか? 「高い声を出す時に苦しくなる・・・」 「高い声を出そうとすると声がひっくり返ってしまう」 「力強くて響きのある声が出せない・・・」 このような悩みを、もしたった数分で解決できるなら最高ですよね? そんなあなたのお悩みを、桜田ヒロキと一緒に解決していきましょう! まずはこの動画をご覧ください!! 最強のボイトレ方法「セミ・オクルーディッド」 いかがでしたでしょうか? では、動画でご紹介したエクササイズについて、詳しく解説していきましょう! Semi-occluded exercise(セミ・オクルーディッド エクササイズ)とは? Semi(半)Occluded(閉鎖的)Execise(運動) といった意味合いになります。 簡単に言うと、『半分声を出す/ 半分声をふさぐ』といった意味です。 発声を唇やストロー等で”邪魔”することによって、『半分だけ発声している』状態を作り出します。 セ… 続きはこちら≫

  • The Greatest Showman「Never Enough」 ベルティング発声を音響解析

    ここまでのSinging Voice Scienceの知識を使って実際にベルティング発声を音響解析してみようと思います。 まだ音声学の基礎知識が無い方は「裏声 / 地声発声時の喉頭原音を音響解析」まで戻って順番に読んでいけば分かりやすいと思います。 今回はThe Greatest Show manの劇中曲。Loren Allred 「Never Enough」を音響解析をしてみます! 2:04の「For Me」の「い」母音 ベルティング発声時に音響解析をしてみようと思います。 解析において必要な情報 ・どの音程を歌っているのか? 音程が決定されると、基音〜すべての倍音が決定されます。 ・どの母音を歌っているのか? 母音がわかれば、共鳴腔がどんな形をしているのか?それによってどんな共鳴特性があるのか?が分かります。 さて、ここで質問です。 Loren Allredは2:04の「For Me」のMeの瞬間に歌っている母音は本当に「い」母音でしょうか? ほぼほぼ「え」母音を歌っているように聞こえるのではないでしょうか? これはActive … 続きはこちら≫

  • 最強の共鳴メソッド?母音を科学的に解説!

    前回のブログ「喉頭原音ってどんな仕組みで「声」に変わるの?」では声帯で作られた音がどのように声に変わっていくのか?を説明しました。 またソース・フィルタ理論についてもお話しをしました。 今回は、日本語の母音がどのような声道の形状をしているのか?それによって、それぞれどのような特性があるのか? について科学的にお話ししようと思います。 まずは「い」母音 左側が口の中の図。   右側が周波数特性です。(黄色の線が周波数特性でF1, F2, F3)と数えます。 ※音響解析をする時に重要な事※ 母音を認識するためにはF1,F2(第1共鳴、第2共鳴)の2つの共鳴が必要となります。 喉側のスペースが大きくなるとF1の周波数帯が低い傾向にあり、逆に狭いとF1が高い傾向にあります。 口側のスペースが大きくなるとF1の周波数帯が低い傾向にあり、逆に狭いとF1が高い傾向にあると言う相関性があります。 「い」母音の特徴 ・舌の位置が非常に高く、前に位置。 ※耳鼻科で声帯を観る時に「い〜」と発音させられるのは、喉の空間が最も広く、観察しやすいからです。 ・喉側の… 続きはこちら≫

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