オーディションでの音域の欄。あなたはどう書く?

ミュージカルのオーディション等で良く書かれている「音域を書く欄」。
「どの様に書けばいいのですか?」
とかなりの頻度で質問を受けます。

この質問。本気でお答えしようとすると非常に難しいのです。

なぜ音域を書く程度の事が難しいのか?

あるミュージカル女優さんのホームページのプロフィールに書かれた音域は以下の通りです。
E3からG6まで。

これを鍵盤上で表すとこんな感じです。

3オクターブ以上ですので、めちゃくちゃ広い音域になります。

ここで生まれてくる疑問は
「実際に歌唱に耐えられる音色で歌える音域なの?」ですし
「どの音楽ジャンルでその音域を使えるの?」もありますし、
「これに書かれた音域で声を伸ばす事もできるの?」も出ますし、
「1曲でその3オクターブを縦横無尽に動き回れるの?」
これらです。

この女優さんが声楽曲を歌うソプラノでしたらE3の音をだす事はほぼありません。
ましてやG6でベルティングなんて出来るわけもありません。(笑)

ここで重要になるのが歌う音楽のスタイルやジャンル、音形、諸々の条件にによって声の出し方は変わる。使える音域も変わる。と言う事です。

このようにどんな声色や出し方、ジャンルを述べず「○から○までの音域を歌えます」と言うのは、あまりに意味のない記述がと思います。

こちらが実際のアーティスト本人にお送りした例

では実際に桜田ヒロキがアーティスト本人に送った例を書きます。

送る前段階として以下の情報を聴き取っています。
こちらのアーティストはポップスのアーティストですので、
・歌うジャンルはポップスだよね?
・作曲家さんが、提出された音域を元に作曲したりキー決めをするんだよね?

その上で、下記の様な情報を共有します。

【地声の音域】
※低音の限界低音
A3(この辺りの声くらいまでが太めの声)
G3(触る程度ならいけます)

※高音の限界音
C5 (伸ばすのであればこの辺りまで, B-B♭くらい伸ばしがとても良いと思います)
D5くらいまで (当て音ならこの辺りまで)

【裏声の音域】
F5(もっと出ますがこのくらいまでが綺麗だと思います)

【主に使うと良いと思われる音域】
B3-B4くらいの音域が最も声が映えるので、この音域を中心に書くと良いと思います。
もし情報に過不足がありましたら、お気軽にご連絡下さい!

図にするとこんな感じです。

ここまで書いて、やっと実際に曲を作ったりキーを設定するのに必要な情報となると考えられます。

「あれ?思ったよりも音域狭い。」と思いませんでしたか?
ポップスで書かれる地声を想定した女声の主に書かれている音域はそこまで広くはありません。
女声の特徴の1つとして、音域の割合で言うと地声1 : 裏声2と言われています。
(男声の場合、地声2 : 裏声1と言われています。)

では現状の音域の書き方にどれだけ意味があるのか?

今、現状のような「○〜○まで出ます。」と言うような大ざっぱな音域の書き方で役に立ちそうなのは、
・大まかに広い音域を持っているか?それなりに訓練されているか?
・とりあえず大まかな音域を書ける程度の音楽能力を有しているか?
・アーティストがファンを驚かせるため(笑)
この程度かと思います。

逆に「○〜○まで出ます。」と言うような大ざっぱな音域の書き方を書かせてそのオーディションで何の役に立つのか、僕が質問したいくらいです。

オーディションを開催する側にご提案をするとしたら
・地声の音域
・地声の伸ばせる音域
・裏声の音域
・裏声の伸ばせる音域
になるかと思います。

そして、伸ばせる音域の上下少しずつが音楽的な音色で歌える可能性が高いからです。

オーディションを受ける側は現状の「どこから、どこまで」が記入のフォーマットでしたら「単純に出る音域」を書けば良いと思います。

オーディションを受ける側、開催する側の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター

アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。

所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop

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