咽頭収縮筋を中心とした喉頭周辺筋への施術

ボイストレーニングの合間に行うボーカルマッサージがすごく好評です。

僕がロンドンで学んだボーカルマッサージ/ボーカル・マニュアルセラピーは、「喉頭、顎、首、舌」を中心にオイルを使わずに行う手技です。
この全てを行おうとすると50分程度要してしまいますが、喉頭のみにしぼれば約15分程度で施術を終える事が出来ます。

ターゲットの1つとなる筋肉 咽頭収縮筋

咽頭収縮筋は上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋の3つに分けられています。
上咽頭収縮筋は喉頭の大分、上に位置するため手は届かず、、、。
実際に手が届く部位では中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋です。
この筋肉が固く硬直している状態ですと喉頭の動きを阻害してしまうため、歌手は「歌いにくい」と感じる事が多いようです。

※中咽頭収縮筋の図


※下咽頭収縮筋の図

咽頭収縮筋の起始(Origin)・停止(Insertion)について

【上咽頭収縮筋】
Origin:翼突下顎縫線、蝶形骨棘
Insertion:咽頭縫線
【中咽頭収縮筋】
Origin:舌骨
Insertion:咽頭縫線
【下咽頭収縮筋】
Origin:甲状軟骨→甲状咽頭筋、輪状軟骨→輪状咽頭筋
Insertion:咽頭縫線

支配神経
舌咽・迷走神経支配

歌声は喉頭の動きが命

歌声を前提とするのであれば、「声は常に瞬発的に動いているもの」です。
例えばこの図は「ミーレドー」を適度にビブラートをかけながら下降したフレーズのピッチを抽出したものです。
ビブラートの動きがあり、レの音はビブラートの動きの一環にあるように見えます。
これにより、音程の明確な境目を歌っているように知覚できます。

逆にこのようにまっすぐに音を当てるには、かなり喉を硬直させて発声する必要があります。

ちなみに多くのリスナーが「いわゆる歌声」と認識するのは前者で、後者の方は「緊張を感じる」「聴き心地が悪い」と言った印象を与えてしまいます。
歌声と言うのは揺らいで、動いているべきものなのです。

喉頭の動きを阻害する要素を減らす事が重要

喉頭へのボーカルマッサージ(英VOICE CARE CENTREではラリンジャル・マニピュレーションと呼ばれます。)を行う事で決まってシンガーが言うのは「声が出しやすい」「喉が軽い」です。

と言うことはつまり、
・喉の緊張が取れる事によりシンガーは歌いやすくなる。
・聞き手は「いい声と認識する」と考えられます。

技術的には、喉の硬直が取れるため、
・ビブラートの改善
・リフ、リッキングの改善
・音程の改善
等が期待出来ます。

桜田ヒロキのスタジオでは必ず、ボーカルマッサージの後は発声トレーニングを行います。
それにより運動学習を加速させ、技術向上を助けられると考えます。


※喉頭への施術の写真

ボーカルマッサージ/マニュアルセラピーはこちらからどうぞ!

この記事を書いた人

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
米国Speech Level Singingにてアジア圏最高位レベル3.5(最高レベル5)を取得。2008〜2013年は教育管理ディレクターとして北アジアを統括。日本人唯一のインストラクターとしてデイブ・ストラウド氏(元SLS CEO)主宰のロサンゼルス合宿に抜擢。韓国ソウルやプサンでもセミナーを開催し、国際的に活動。
科学的根拠を重視し、英国Voice Care Centreでボーカルマッサージライセンスを取得。2022–2024年にニューヨーク大学Certificate in Vocology修了、Vocologistの資格を取得。
日本では「ハリウッド式ボイストレーニング」を提唱。科学と現場経験を融合させた独自メソッド。年間2,500回以上、延べ40,000回超のレッスン実績。指導した声は2,000名以上。
倖田來未、EXILE TRIBE、w-inds.などの全国ツアー帯同。舞台『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』主演・岩本照のトレーニング担当。
歌手の発声障害からの復帰支援。医療専門家との連携による、健康と芸術性を両立させるトレーニング。

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