アーティスト・ミュージシャン・アマチュア ボイストレーニングや歌唱指導の違いは?

僕は日々、プロアーティスト、ミュージシャン、俳優、アマチュアシンガーの方を教えています。
それぞれの特性や歌唱の教え方にどんな違いがあるのかを客観的に考えてみようと思います。

アーティスト

ここでは既にプロとして社会から認知されているアーティストとします。

楽曲の歌唱音域
意図をしていなければ、大体常に同じ音域を歌う事が多い

声色
アーティストとしてのシグネチャー・サウンドが確率している場合、その声色を返る事はあまりない

レッスンで要求される事
ライブパフォーマンスであれば、まず「音程を安定させて欲しい」はアーティスト本人、事務所からも言われます。
出すのが辛い音域を安定させて欲しいと言った要望も言われます。

レッスンで行う事
・極力、安全で「声帯出血」と言った怪我のリスクを極力抑えるように発声時の喉頭のリラクゼーションを行います。
必要であれば、喉周りや舌骨周りのストレッチを行います。

・音程の安定のために必要な発声トレーニングを行います。

・音域の拡張が可能な場合、積極的に行って行きます。
それにより、現在まで歌ってきた楽曲の歌唱が安定していきます。

・発声におけるバランスの悪さがある場合、(極度な過緊張発声など)癖化すると機能性発声障害やイップスになる事もあるため習性を行います。

つまり極端に言えば「最強に磨き挙げられた1つの武器」を使いこなすがアーティスト。
ボーカルコーチはその武器を磨き上げる事、その武器を使い続けられるようにするのが大きな使命となります。

ミュージシャン・ミュージカル俳優

ここでは複数のジャンルをまたがって歌う必要のあるシンガーを指します。
要求される事が重複する部分が多いためここではまとめて記載しています。職種は違う物と考えて下さい。

楽曲の歌唱音域
様々なジャンルをまたがって歌う場合、音域も様々な事が多い。

声色
ジャンルをまたがって歌うため、声色も多岐にわたる事が多い。

レッスンで要求される事・行う事
現在または将来歌唱する楽曲を歌ってもらい、克服する課題を挙げ、それを克服するためのボイストレーニングを提案。

例えば、、、
「この高音の声色が気になる。キツく聞こえる」
→ボイストレーニングによる音域の拡大
もしくは母音や声色の見直しを行い、発声の改善を行う

「ビブラートが均一にならない」
→音域が原因の場合、音域の拡大
もしくは直にビブラートエクササイズの提案

「声が早く動かない」
→アジリティ(瞬発)系のトレーニングの提案

「声色が細すぎる/太すぎる」
→母音の見直し
声の共鳴のさせ方のトレーニング

「音程が安定しない」
→発声による不安定さが原因である場合、ボイストレーニングによる発声訓練の提案
もしくは一時転調や臨時記号の付くノンダイアトニックなど音楽的に把握出来ていないかの確認

つまり「最強の1つの武器を操るアーティスト」に対して、
「複数の武器を操るミュージシャン」にその武器を授け、使い方を授けるのがボーカルコーチの大きな役割になります。

アマチュアの方・プロ志望の歌手・育成期間中の歌手

楽曲の歌唱音域・声色
その声の良い音域・声色・得意技を選定するため様々な音域、ジャンルの楽曲を練習曲としておすすめする
つまり訓練期間中なので、方向性を1つに絞らずに様々な楽曲に挑戦してもらう

レッスンで要求される事・行う事
下記のいずれかに該当した項目を補完していきます。

音域は充分に開発されていない事が多い
→低音〜高音まで拡張が必要

声色はいわゆる「歌い声」になっていない事が多い
→歌い声に耐えられる音色の開発を行う

音程感が確立していない事が多い
→イヤートレーニングやソルフェージュ等で「12音階で歌う」という音楽の基本的なルール感を作る

リズム感が確立していない事が多い
→最初は拍を追えない事も多い。
8分ノリ、16分ノリ、3連ノリ楽曲のフィールをつかめない場合もリズムトレーニング等を行う

ビブラート・ディッピング(しゃくり)・トリルなど基本的な歌唱技術がない事が多い
→楽曲の歌唱と平行して必要な技術を習得しやすいトレーニングメニューの提案を行う

ボーカル・コーチの選び方は?

僕は大きく分けて3パターンのボーカル・コーチがいると考えています。

・育成が得意なボーカルコーチ
上記で挙げた「プロ志望の歌手・育成期間中の歌手」を育てるのが得意なボーカルコーチ。
この場合、体系立てた開発プログラムを順番にこなしていく事により、多くの技術を習得できるようにするいわゆる教育プログラムの組み立てが得意なボーカルコーチです。
アマチュア歌手を育てるのが得意と言えると思います。

・ニーズに応えるのが得意なボーカルコーチ
歌手の要望や問題点を見極め、最短で成功に導く事が得意なボーカルコーチ。
アーティストやプロ・シンガーのトレーニングが得意なボーカルコーチです。
桜田ヒロキはここが一番得意と考えます。

・ミュージシャンが歌手活動の他にレッスンを行っているケース
自身のトレーニングや現場での経験が豊富なミュージシャン。
教えるプロではない方も含まれますが、いわゆる「ミュージシャンからの助言」が必要なシンガーも多くいますので、必要な瞬間に必要なパズルのピースがはまる様に出会えれば本当に素晴らしいボーカルコーチになり得ます。

まとめ

一口に歌手が「歌を歌う職種」と言っても様々あるように、ボーカルコーチのタイプも様々あります。
一生、1人のボーカルコーチに習い続けると言うのも美しい話ではありますが、自分の必要とした時にそれが得意なボーカルコーチに出会えれば最高です。

「3年習うより3年師を探せ」と言う言葉があるように、3年間「自分にとって素晴らしい先生とは誰だろう?」と言う情報網を張り巡らせていれば、良い先生や良い情報に巡り合えるように「情報選択の能力」や「先生の持つ技術を見極める能力」を身に付ける事が出来ます。

世にあるブランド名の付いたボーカルメソッドもありますが、ボーカルコーチの思想や音楽性、美的センスや人間性は決して一定ではありません。
あなたが良いボーカルコーチに巡り会える事を心から祈っています。

この記事を書いた人

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター

アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。

所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop

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