加齢による身体と声の変化とは? パート2

呼吸器の変化

肺の容量の低下
加齢により肺の容量が低下します。
肺圧が下がる事により、音量の低下。
肺の容量の低下により長いフレーズを一息で歌いづらくなります。

肺の柔軟性の低下
肺の柔軟性の低下により呼気、吸気ともにスムーズに行う事が難しくなります。

内肋間筋、横隔膜の筋力低下
空気を吐き出す時に使う内肋間筋が弱くなります。
空気を取り込む際に使う横隔膜の筋力が低下します。
これにより呼気、吸気ともに下がると考えられます。

筋肉の変化

呼吸のプロセスを描いたグラフ。加齢により使えない空気の容量が増えます。
筋肉の質量の低下
加齢により前進の筋肉が減ります。
声帯は筋肉の占める割合が大きいため、それが減る事により音量の低下、高音化が考えられます。

姿勢の変化
筋力の低下により、姿勢に変化が起こります。
前屈みになったり、背中が曲がるなど、歌にとって好ましくない姿勢になりやすくなります。

柔軟性の低下
加齢により筋肉の柔軟性が失われます。
声帯そのもののしなやかな動きに影響は出るでしょうし、それは呼吸器を支える筋肉にも起こります。

舌骨から肩甲骨まで伸びる肩甲舌骨筋

神経系統の変化

神経筋の協調性の変化
加齢により筋肉の協調運動に変化が起こります。
声は主に足より上の筋肉の協調運動とも言えますので、声に必要な筋肉の連動性に衰えが起こると考えられます。

反応速度の低下
反応速度が遅れる事により、素早い声の動き(ビブラートを含む)が難しくなります。
またリフやコロラトゥーラ等の瞬発力の問われる歌唱にも影響があると考えられます。

いかがでしたか?

前回から引き続き加齢における変化を書いてきました。

ただしこれらの変化も必ずしも悪いことばかりとも言えず、例えば反応速度の低下は楽曲の選別を誤らなければ「味のある歌い方」になります。
声帯の柔軟性の低下による嗄声も「味のある声」に変化しているとも言えます。
歌は芸術ですので、変化を人生の時々に合わせて身体や声の使い方を適合させれば、変化をよりポジティヴな物として捉える事が出来るでしょう。

もちろん!これらの身体的変化は遅らせたり軽減させる事も出来ます!
次回からはAgeless Voice(歳を取りにくい声)の方法を書いていきます。

加齢による身体と声の変化とは? パート1

加齢に負けない声を作るボイストレーニングコースはこちら

この記事を書いた人

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター

アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。

所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop

RECOMMEND
関連動画

声楽からミュージカル歌手の歌い方へ変えたい!

声楽を学んできたが、CCM(コマーシャル・コンテンポラリー音楽)の発声方法も習得したいクライアント様のレッスン。

WATCH MORE

ボイトレで高い声は獲得したけど、歌で出せない!なんで!?

ボイストレーニングは高音も低音も目的にあった「出しやすい」状況を作って発声を出来るように仕向けます。

WATCH MORE

歌うと喉の緊張をすごく感じる。リラックス方法を知りたい

歌うと喉の疲労が激しいわりに、大きな声が出しにくいというクライアント様に過緊張とは何か?改善は何か?を解説していきます

WATCH MORE

ビブラートを作るためにはどうすれば良いの?簡単なエクササイズ方法をご紹介!

「ビブラートを出せるようになりたいけど、どんな練習をすればいいかわからない・・・」
そんなあなたのために、”ビブラートの感覚”を養うためのエクササイズ方法をご紹介していきます!

WATCH MORE

レッスンに来た時の歌声のチェックポイントを教えます

桜田ヒロキはボイストレーナー仲間の間でも超細かく歌声を聞き取り、フィードバック出来ると定評いただいています

WATCH MORE

声と意識の結びつけ方。その重要性を解説します。

あなたは声と意識の結び付けが上手に出来て、インテリジェントに練習が出来ていますか?
声のトレーニングは筋肥大を目指す筋力トレーニングとは異なり、頭で想像→実際に発声→理想と実際に出た声の誤差チェックが重要になります。

WATCH MORE
レッスンを予約する