松浦航大「フィラメント」解析〜後半〜

今日はものまねで非常に有名になった松浦航大君の「26人のものまねで1曲のオリジナルを歌う」と言う偉業を果たした楽曲「フィラメント」を使わせていただき、各アーティストの声色の特徴を解説していきます。 声色の特徴、歌い方の技術など参考にすべき技術満載ですので、ぜひ一緒に分析して、マネしてみてくださいね! 米津玄師さん、川崎鷹也さん、ジェジュンさん、スキマスイッチ大橋卓弥さんの声色と歌唱技術を解説していきます!

米津玄師さんの声の分析

・喉頭の位置→真ん中

・顎の開き方→中間

・唇の開き方→横に広い

・軟口蓋の位置→高い

・鼻声母音→使わず

・母音のとらえ方→[a]

・声門閉鎖→強い&弱い(使い分けている)

・息の混ぜ方→少ない&多い(使い分けている)

喉頭の位置は比較的真ん中にいて、米津さんはニュートラルなサウンドなのではないかと思います。

航大くんの口の動きに注目すると横に開いているため、桜井さんほどは喉を上げないようにしつつも唇を横に開くことによって、まろやかさ・太さ・明るさを再現しているのではないかと思います。 特徴的なのが声門閉鎖が非常に強い瞬間と弱い瞬間がありますね。

息の混ぜ方も少ない瞬間と多い瞬間がありますね。

歌唱パートで見ていきましょう 「ひとりをえらんだ」 「ひと」は丸くて少し息っぽく、「り」は結構鋭く聞こえますね。息っぽいと鋭いというのがこのフレーズの中で聞こえるようになっていますね。 そして「り」の母音は「イ」と「エ」の中間を狙っていますね。

これは高い声でイ母音を強く出したい時のセオリーなのです。

喋り言葉の「イ」のように歯を閉じたような状態で口を横に開けてしまうと、音が放射しなくなりパワーが出せなくなってしまいます。高い音を出す時は、口を縦側に開けて声帯から口元までの空間を短くしたいです。

歌唱のトレーニングを受けたことのある人たちの特徴的な開け方で、それを知らない方は喋り言葉の「イ」のように口を横に開けてしまい、縦の幅も閉じた状態になり喉が上がってきてしまいます。そうするとイ母音の空間の広さができません。

「ひ」「り」のイ母音の空間の広さ、ダイナミックであったりHEROIC(英雄的)さはサビの第一声にふさわしい声でもある米津さんを選んでいるようにも感じます。

歌い方の技を見てみましょう。 「ひとり」の「り」は先ほどお伝えした「イ」と「エ」の中間母音を狙い、発音は舌先を鋭くくっつける「L」に近い「LI(Iは曖昧母音)」を狙っています。 「えらんだ」の「ら」でも同じく「L」に近い「La」と発音していますね。

その後、母音のところでfall downという技を使っていますね。

語尾の「だ」ではビブラートをかけ、切り際で泣き声のようなFalsetto Cryという技を巧みに使っていますね。これはとてもセクシーに聞こえます。

米津さんの男性的なHEROICなサウンドの中に、泣きべそのような音を入れる巧さは素晴らしいですね! 「君のいたみを」の「た」ではfallを使い、語尾の「を」ではダイナミックにビブラートをかけていますね。

 

川崎鷹也さんの声の分析

・喉頭の位置→真ん中

・顎の開き方→狭い

・唇の開き方→狭い

・軟口蓋の位置→真ん中

・鼻声母音→使わず

・母音のとらえ方→[ʌ]

・声門閉鎖→弱い

・息の混ぜ方→中間

わりと正統派に感じます。やや息まじりな声も入っていますね。

歌い方を見てみましょう。

前半部分の「きかせて」は「きっかっせって」というように音を切っていますね。

語尾の「て」では少し待ってからビブラートをかけていますね。

これによりだんだん声が加速していく感じを演出しているように感じます。

「歌わせて」はレガートに歌い、語尾はすぐにビブラートをかけることにより少しずつビルドアップしていますね。

「この壁すり抜けて」の「す」ではすぐにビブラートをかけ疾走感を作るようにしているのでしょうね。

このビブラートは本当に素晴らしいですね!!

 

ジェジュンさんの声の分析

・喉頭の位置→真ん中

・顎の開き方→中間

・唇の開き方→狭い

・軟口蓋の位置→低い

・鼻声母音→たまに

・母音のとらえ方→[ʌ]

・声門閉鎖→弱い

・息の混ぜ方→多い

口の開き方はわりと円形のような感じで歌っていますね。

母音のとらえ方は柔らかいトーンを作るためなのか[ʌ]を狙っているように感じます。

全体的にジェジュンさんの歌い方は息っぽさを混ぜ柔らかく歌うようにしているのではないかと感じます。

歌唱パートを見ていきましょう。

「さみしさ」を「すぁみしさ」というように「す」から入りジェジュンさんのコリアンアクセントをマネしているように予想しています。「し」では「イ」と「エ」の中間母音を狙っていますね。 そして「し」はFalsettoに入れて「さ」で切れ目なくMIXの地声に移動させていますね。

技術的にすごいことをしています!お見事です! 「雷雨が」ではメロディを曲線的にとらえていますね。

語尾の「が」の入口でFalsetto Cryを使っているように思います。これも色っぽくエモーショナルに聞こえますね。

「が」は狭めのア母音から入り、伸ばしながら微妙に変化させていますね。

「つなぐ」では「つなぎぅ」のように「ぎ」から入ってウ母音の方に狭めるように移動させてジェジュンさんのアクセントの付け方を演出しているのではないかと思います。

「フィラメント」の語尾は「tow」というようにして特徴を再現させているように思います。

母音の移動のさせ方、ファルセットからミックスへの移動のさせ方が神業ですね!! 本当に凄いなと思っております!!

 

スキマスイッチ大橋卓弥さんの声の分析

・喉頭の位置→真ん中

・顎の開き方→中間

・唇の開き方→縦に広い

・軟口蓋の位置→低い

・鼻声母音→多用

・母音のとらえ方→[ʌ]

・声門閉鎖→中間

・息の混ぜ方→中間

鼻に掛けつつ、口頭は真ん中に保った状態で声色の豊かさを作っていますね。

鼻にかかったような声色が特徴かと思います。

そうするために軟口蓋の位置は低めに持っていく必要があります。

航大くんご本人に聞いたところ、大橋さんの声が一番響くような気がすると言っていました。

おそらくこの辺の音域・太さで歌っているのが航大くんの得意なところなのではないかと予想しています。

歌い方の特徴を見ていきましょう。

非常にレガートで母音を長めにとっていますね。

同じレガートでも前半に登場した槇原敬之さんとは違う印象がありませんか? 大橋さんの声で歌っている時は、かなりしなやかに、柔軟に声を動かしているようですね。

スローモーションにすると一音一音に小さいしゃくりが入っていますね。

この動かし方がグルーヴになっています。 同じレガートでも槇原さんのように真っ直ぐとらえることによって作られる美しさと、大橋さんのようにレガートでありながらも細かく声を動かしグルーヴを作っていくという歌い方によりキャラクターはだいぶ違って聞こえるという面白さがありますね。

この記事を書いた人

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター

アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。

所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop

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