- 2021.10.24
- 声の健康法
前回のブログ、「声の衛生管理について」は多くの方に読んでいただけたようです。
こちらは言語聴覚士の先生監修の記事を元としています。
病理性のある声に対して理想的な発声環境を述べているので、読んでいただいた方は「いや、そんな事出来ないし!毎日配信忙しいのに!」と言う方もいると思います。
今日はそんなプロボイスユーザーさんの発声環境の改善の”ちょい足し”。でもとっても効果的な方法をお教えします!
喉頭潤滑が改善が鍵となります
これは「喉の中がどれだけ潤っているのか?」を指します。
まず声の元となる音を作る声帯は男性で100〜300回。女性では200〜500回くらい1秒間で振動しています。
非常に早く動く組織で、滑らかに動くためには声帯そのものが潤っている必要があります。
その他の部位もしっとりと湿っていてこそ、免疫機能が向上し、さらに声道が共鳴腔としてよい役割を果たしてくれます。
しっかりと水分摂取をしましょう
30~40ml × 体重(kg)=基準値
そうすると体重が50kg程度の女性の場合、最低ラインが1.5リットル〜2リットル程度。
70kgの男性の場合、2.1リットル〜2.8リットル程度になります。
まずはここからスタートしましょう。
配信中も含め、1日を通してチビチビ飲む事が重要です。
水だとなかなか飲みづらい方は経口補水液などを使うのも手だと思います。
上咽頭鼻うがいをぜひ始めましょう
風邪の流行りやすいシーズンや花粉のシーズン。特におすすめしたいのが鼻うがいです。
桜田自身も鼻うがいをやり始めてから風邪をひく頻度が半分以下になりました。
現在では朝晩欠かさずやっています。
生理食塩水を使えば痛くないです!
通常の鼻うがいと少しだけやり方を変えて一工夫入れてみます。
通常ですと顔を前向きに倒して鼻から入れてもう一方の鼻から出す流れになりますが、これだと最も洗浄したい上咽頭が洗えません。
上咽頭が菌やウィルスが繁殖すると上咽頭炎となり、状態が悪化すると炎症が酷くなり風邪の症状が起こります。
上咽頭炎は、喉頭の潤機能を下げ、嗄声が起こりやすくなる事がわかっています。
さらに最近の研究では、頭痛、肩こりの原因となったり、集中力の低下、さらに発声障害にも影響を及ぼしていると言われています。
鼻と喉の間くらいに位置する部位なので、通常のうがいでは到底届きません。
さらに鼻うがいをしても頭を前に傾けていては角度的に届きません。
上咽頭に生理食塩水を届かせるためには首を後ろに傾斜をつける必要があります。
これで、上咽頭までしっかり届きます。
朝晩200mlくらい使ってしっかり洗浄すると良いと思います。
通常、上咽頭の症状が改善するまで3ヶ月程度は必要と言われていますので、継続的に行うのが重要です。
ちなみに生理食塩水の分量を調べて、塩と水で作れば良いのですが、面倒な方は「サイナスリンス」と言う商品が最安値だと思います。
ハナノアは非常に高いので、ポンプだけ旅の時に持ち歩いています。
声優さんは収録前にファミチキを食べる?
冗談のようなお話ですが、現役の人気声優さんに伺いました。
「唐揚げを食べると声が出しやすくなる」と言う冗談みたいな話しから
「声優あるあるですけど、収録前にファミチキ食べている声優は多いですよ」だそうです。(笑)
※食べ物や飲み物は食道へ
食べ物や飲み物は気道にある声帯には届きません。
しかし声の共鳴腔となる声道が油によって潤され、良い反響板のような状態になるのではないか?
風邪の時に声帯そのものは影響を受けていない時でも、声道が腫れてブヨブヨになっていると非常に声が出しにくくなる事がありますので、その逆を考えればこんな仮説は立てられそうです。
昔から歌手は本番前や練習前にオリーブオイルをティースプーンで舐めていた方はいました。
ですので、試してみて、もしこれも効果的だと感じられれば配信中に水分補給+オリーブオイルを舐める程度の事は出来そうですよね。
このように、一般的に声に良いと言われる事は積極的に試して、自分にとって効果が感じられるかどうか?を見極めて継続するか止めることが重要です。
英語ではOutcome Based Decisionと言われる方法です。
いかがでしたか?
今回は声のケア方法を少し踏み込んでお話してみました。
基本的には「声の衛生管理について」で書いた基本的な声の衛生管理ができている前提とはなりますが、「少しでも声の状態をよくしたい!」と言う方はぜひ試してみてくださいね!
つづき 声を痛めてしまったら、どのくらいの休息期間が必要なの?
ヒアルロン酸の経口摂取は喉や声帯の加湿に有効か?の記事はこちら
この記事を書いた人
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。
所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop
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